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2009.01.01初稿

2009.02.01改訂

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[基本編] 1-2-3. DVカメラの基礎知識

この記事では、DVカメラの知識を解説します。

DVカメラとは...

歴史

MiniDVロゴ1995年に登場したDVカメラは、家庭用ビデオカメラとしては始めて、デジタルビデオを収録できる製品でした。それまで、家庭用ビデオカメラでは、VHS-Cや8mm/Hi8ビデオなどの、アナログビデオカメラしか存在していなかったのです。

今からすると当たり前のことかもしれませんが、そんな当時としては、

デジタルなので、画像がきれい(アナログノイズがない。ジッターが起きない。色がきれい、等)

デジタルなので、ダビングしても画質が劣化しない(アナログビデオのダビングをすれば必ず画質が落ちます)

等の点で驚きをもって迎えられました。また、当時は、ごく一部のユーザにしか理解されていませんでしたが、

デジタルなので、Macやパソコンとの親和性が高い

ことも、大きなアドバンテージでした。実際、Mac(やパソコン)でのビデオ編集、つまり、DTVは、DVとともに大発展・普及期を迎えることになります。

DVカメラは、ソニー社、パナソニック社、キヤノン社、シャープ社、日本ビクター社から発売されています。DVカメラの初期の製品では、不具合が見られることがありましたが、今では不具合は各社とも皆無になりました。

SDデジタルビデオをテープに収録するためのもの

当時は、当然、HDビデオなどは存在していませんでしたから、DVカメラは、撮影したSDビデオをデジタルでDVテープに収録します。

そして、現在

さすがに、新製品は発売されなくなり、もはや店頭も余り見かけなくなりましたが、中古市場では安価かつ潤沢に流通してますので、画質を割り切ればリーゾナブルなコストで入手可能です。たとえば、DVD-VideoやiPod/iPhone、YouTube等のビデオ共有サイト/Webサイトといった用途で用いるだけならば、今のところ、撮影時からSDビデオで収録しておけばよく、なにも高価なHDビデオカメラを購入しHDビデオで収録しておく必然性はありません。こんな場合は、DVカメラの使用も検討してみてはいかがでしょうか。

なお、Macで使用するには、お使いのMacにFireWire端子が搭載されている必要があります。最近のMacBookでは、FireWire非搭載モデルも登場しています。これらの機種では、DVカメラを使用することができませんので、ご注意ください。

DVテープ

DVテープには、miniDVテープと標準DVテープが存在します。

DVカメラに使用するテープは、miniDVテープです。miniDVテープは、テープ幅は1/4インチ。8ミリビデオテープよりふた回り小さいくらいの大きさで、現在、標準(SP : Standard Play)モードで80分録画可能なものが出ています。長時間(LP : Long Play)モードで利用すると、収録時間はSPモードの1.5倍となり、最長120分間録画可能です。

一方、据え置き型のDVデッキでは、miniDVテープのほかに、標準DVテープも使用できます。ただし、DVデッキそのものが余り普及していないので、店頭でもあまり見かけることはないかもしれません。DV標準テープはVHSテープよりも一回り小さくて薄い大きさです。さすがに標準テープだけに、miniDVテープよりも録画可能時間は長く、SPで270分テープまで(LPなら450分)が発売されています。
ちなみに、標準テープが使える据え置き型DVデッキは、miniDVテープもアダプタなしに使用可能です(VHS-Cテープのように、普通のVHSデッキで使用するためのアダプタは不必要です)。

図 DVテープの写真

前方が、miniDVテープ。後方が、標準DVテープ。

図 家庭用ビデオテープ各種

後方が標準VHSテープ。左前方よりminiDVテープ、標準DVテープ。右前方は8ミリビデオテープ(Hi8)。

DVテープフォーマット

右図に示したとおり、DVでも、アナログビデオテープと同様、ヘリカルスキャン方式(テープ走行方向に対してヘッドが斜めにトラッキングされている)を採用しており、10トラック分で1フレームを記録します。しかし、アナログテープと異なる点は、DVテープでは、映像セクタと音声セクタとが明確に分離して記録されていることです。このことは、あとで触れるように映像と音声を独立して編集ができるなどの利点を生んでいます。

また、サブコードセクタといって、TimeCode情報や撮影日時データなどが記録される領域も確保されています。サブコードは、DVキャプチャー、DV書き出しの際のデバイス制御で威力を発揮します。

なお、図中、ITIセクタとは基準信号などを記録したエリアです。

LPモードとSPモード

録画時間が短い、その割に高価、というユーザの要望によって、DVテープにはLPモードが搭載されたDVカメラが増えてきました。SPモードにくらべ、LPモードでは1.5倍の録画が可能になっています。

VHSや8ミリビデオでのアナログテープでも、長時間録画モード(3倍)が搭載されていますが、この場合、明らかに画質が落ちます。この理由は、テープ速度を1/3に落とすことから、時間当たりの情報量も1/3になってしまうためです。
また、デジタルビデオの世界でも、DVD-Video作成時1枚のDVD-Rメディアに収録時間を延ばそうとすると、圧縮率を上げる(低ビットレートにする)ので、そこで画質が落ちます。家電HDDレコーダで
画質モードを変えると、圧縮率・ビットレートが変わるので、画質が変わることもよく知られています。

ところが、DVでのLPモードでは事情が違っています。基本的には、SPもLPも画質は同じ(データ量はおなじ)なのです。

テープの走行速度を2/3に落とし、テープ上への書き込み幅(トラック幅)も2/3に狭めることで、同じ長さのテープに1.5倍のデータを書き込み、収録時間を長くする、という仕組みです。幅10ミクロンで書き込まれているSPモードにくらべ、LPモードではその3分の2の幅である6.7ミクロンで書き込まれています。この仕組みですと、SPモードでもLPモードでも「圧縮率」は同じですから、画質は同じです。

ただし、LPモードでのデメリットもあります。

ひとつには、エラーの発生確率が若干増える恐れがあること。トラック幅が2/3になるので、データの冗長度が落ちることになります。そのためエラー耐性が弱くなります。この結果起こる症状としては、ブロック状のノイズがでやすくなるおそれがあります。

ふたつめには、自己録再しか保証されないこと。
自己録再とは、撮影したビデオカメラそのもので、再生すること。 つまり、録画時に使用した同一DVカメラでの再生しか保証されませんので、別のDVカメラではLPモードの再生は、うまく再生できないこともありえます。

結局のところ、LPモードでは、基本的には同等の画質を確保できるものの、そのぶんセーフティーマージンをけずってあるので、ノイズが出やすくなったり、再生互換性が低くなる、とまとめることができます。この特徴を理解した上で、LPモード使用の可否を判断して下さい。

DTVにおいては、あるDVカメラ製品では、LPモードだと取り込みがうまく行かない、などの症状が出ることもあるようです。また、個人的には、(お子さんの成長を記録するような「重要な撮影」の場合にテープをケチる(結果としてエラーのリスクが大きくなる)のは、馬鹿げているようにも思います。

これらの点を考慮してどちらのモードを使用するか考えて下さい。

なお、業務用途においては、家庭用DVよりもさらに信頼性が要求されますので、トラック幅を1.5倍に拡大して(その分録画時間は2/3になるが...)、信頼性を向上させるDVCAM方式(ソニー)やDVPRO方式(松下電器産業ほか)も存在しています。業務用途だと、それだけシビアなのですね。

DVのサウンドは...

DVのサウンドは、32kHz-12bits-2チャンネルステレオか、48kHz-16bits-1チャンネルステレオかのいずれかです。圧縮されていません。

規格上は、音楽CDよりも高音質、といえます。ただ、DVカメラ内蔵のマイクで収録しているわけだから、音質を議論してもあまり意味はありませんが。

VHSや8ミリビデオ★といったアナログテープの場合、音声は映像と合わせて記録されていました。ですから、後で、音声だけを差し替える(=アフターレコーディング。アフレコ)は不可能でした。もし、音声に効果を掛けた場合には、映像にも影響が出る(映像がアナログダビング劣化する)ことになるのです。しかしながら、DVでは、音声と映像が完全に独立しているので、アフレコが可能なのです。

★<Tips>8ミリビデオ
8ミリ/Hi8の場合、このほかに、PCM音声トラックが別に用意されているのでアフレコは可能です。ただし、PCM音声が再生可能なビデオカメラ・デッキが少ないため、折角の機能も宝の持ち腐れの感がありました。

DVカメラを32kHzモードにセットして撮影した場合、現地音(撮影時の音)は、1チャンネル目に記録されます。もう1チャンネル空いているので、DVデッキを使用してのアフレコも可能で、どちらのチャンネルを再生するか、選択することも出来ます。48kHzモードの場合は、高音質(量子化ビット数が16bits)ですがチャンネルがひとつなので、DVデッキを使用してのアフレコを実行すると、現地音に上書きされてしまう、というデメリットもあります。

DTVを行うことを前提とした、撮影時の音声モード

DTVを行うことを前提としたDV撮影時の音声モードについては、
32kHz-12bits-2チャンネルステレオの場合、DVキャプチャーすると、DTV編集ソフト上にはサウンドトラックに2チャンネル分がちゃんと表示されます。ただし、iMovieのように32kHz-12bits-2チャンネルステレオに完全対応していないソフトもありますので、注意が必要です。

このようなことを考慮すると、特別な意図がない限り、撮影時には48kHz-16bits-1チャンネルステレオで録音しておく方が無難と言えます。

DV端子

ごく初期型ののごく一部の製品を除き、DVカメラには、iLINK端子(DV端子ともいう)が搭載されています。

DV端子は、別記事で述べるとおり、IEEE1394(Macでいう、FireWire)のサブセットで、4ピンの端子です。

このDV端子間をDVケーブルで接続すると、
● デジタルで劣化なしダビングが可能です
● DV端子から、DV機器の制御も可能です
DV端子経由で、映像、音声情報だけでなく、制御情報も双方向通信しているからです。

こうしてみると、もともとDVカメラは、パソコンとの親和性も高いことがおわかりになりますね。

DVストリーム

DV端子から流れてくる信号を、DVストリームといいます。DVストリーム形式のフォーマットでは、ビデオデータ・オーディオデータのほか、撮影日時データ、TimeCode(タイムコード)などの諸情報も含まれています。

ビデオデータ

DV Codecで圧縮された、SD720×480/60iビデオ(NTSC)

オーディオデータ

16bit-48kHz-1chステレオ-非圧縮、
または、
12bit-32kHz-2chステレオ-非圧縮、

フォーマット(ビデオ・オーディオ・その他情報の並べ方)

DVストリーム

MacやPCでのDV取り込みの際には、DV端子から「流れてくる信号」(=ストリーム)を、逐次、HDDに蓄積してゆきます。

DV取り込み工程では、画質劣化はゼロ

iMovieの場合、「DV端子から流れてくる信号」をその順番のままHDDに記録してゆきます。すなわち、Macに取り込まれたファイルと、DVテープ上のデータの並び方は同じDVストリームフォーマットです。

DV取り込みの際には、このように、DVテープ上の信号をそのままMacのHDDに持ってきているだけなので、なんのフォーマット変換処理/Codec変換処理がなされません。なので、このプロセスでの「画質劣化」は起こりません。 「DV取り込みの際に、画質が劣化する」というのは、全くの誤解です。

同じことは、DVダビングにもいえます。DVダビングとは、2台のDVカメラ・DVデッキをiLINK接続し、一方を再生機、もう一方を録画機としてダビング(テープを複製する)やりかたです。ここでも、再生機上のDVテープのDVストリーム信号が、そのまま録画機のDVテープに記録されてゆくだけであり、なんのフォーマット変換処理/Codec変換処理がなされない以上、このプロセスでの「画質劣化」は起こりません。

注)iLINKでの送信時のエラーについては、規格上一定量許容しています。パソコンにおける通信のように「エラーを全く容認しない」という風にはなっていませんし、もし、送信時にエラーがあっても再送信を要求する仕組みはありません(アイソクロナスなので当然といえば当然です)。

従って、厳密にいうと、iLINK送信時のエラーに伴うノイズの発生は、原理的にはゼロではありません。

しかし、通常は、iLINKにはエラー訂正機能があるので、エラーが起きても画面・音声にノイズが載るといった事態に陥ることはまれです。また、iLINK送信時のエラーならば、再度送信(つまり、再度DV取り込み)すれば済みます。送信エラーなら同じ箇所で起きる確率は相当低いですから。

画面・音声にノイズが載るとしたら、撮影時のテープ書き込みエラーが大半です。例えば、強い衝撃のためテープトラッキングがうまくいかなかった、テープ上のほこりが載っていた、テープのその箇所に不具合があった等が考えられます。DV取り込みを何度行っても同じ箇所でノイズが出るなら、撮影済テープの「その箇所」にエラーがある可能性が濃厚です。撮影テープ自体に問題があるなら、あきらめるしかありません。

 

撮影日時データやTimeCode

DVストリームには、ビデオ・オーディオデータのほかに、撮影日時データやタイムコードなどの情報も含まれています。

参考情報 [基本編] DV/HDVテープの撮影日時データやTimeCode

撮影日時データ

iMovieのイベントライブラリ機能は、この撮影日時をキーとして素材を管理するので、ビデオカメラの時刻は正確に合わせておきましょう。デジカメ写真とiPhotoの関係と同じですね。

海外旅行の際には、時差補正をしておくことをお勧めします。日本時間のままの設定だと、現地時間で同一日(朝から夜まで)に撮影したにもかかわらず、iMovie上でのイベント管理の際、(日本時間に従って処理するので)二日間にわたって分かれてしまうこともありますので。

タイムコード

タイムコードは、テープ冒頭を00:00:00;00とし、そこからの経過時間を記録するものです。「テープ上の絶対位置」を判断する重要な情報です。

iMovieには、TimeCodeを活用した機能はありませんので、TimeCodeを特に意識する必要のですが、それでも、(例えば、iMovieプロジェクトをFinal Cut Express、Final Cut Proに持ってゆく、といった場合に不都合をさけるために)、ひとつだけ気をつけてください。それは、撮影時に無録画部を作らない、ということです。

一旦巻き戻したあと、撮影を再開する際には、無録画部を作らないように、記録画部にオーバーラップするようにします(こうなると、前回の撮影時には、最後のシーンは上書きされてもいいように、長めに撮影しておく必要があります)。あるいは、DVカメラに「エンドサーチ」機能がある場合には、これを活用しましょう。

「タイムコード先打ち」も効果的です。

 

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2007.07.23 初稿を公開しました。

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