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2002.02.15 アップル クリエイティブ映像ワークフローセミナー on Mac OS X
東京国際フォーラムホールCで開催されたアップル クリエイティブ映像ワークフローセミナー on Mac OS Xに行って来ました。
会場では、Final Cut Pro Unofficialのぷれぷれさんとご一緒しました(時々、突っ込みを入れながら(笑))。
冒頭、谷村有美さんとのご結婚の決まった原田社長(笑)からの挨拶のあと(ちょっと長い(笑))、恩田さんの総合進行により始まります。恩田さんのお話って、話しがうまいのでだまされやすいんですよねえ(笑)。例えば、「学生さんがFCPを使ってDV素材を使ったクリエーティブワークを覚えたとします。卒業後、渡米でもしてプロダクションに入社した場合も、たとえHDの素材になったとしても、覚えたことは無駄になりません。この辺がFCPのスケーラビリティなんです」といった具合で、うまいことをいいますねえ。(この辺は後述)
第1部 Final Cut Proを中心としたワークフロー
今回のセミナーの目玉だと思うのですが、聴衆層も考えると、Fianl Cut Pro 3の個々の機能を具体的に説明してもどうか、と思いますので、こんなものかな。
まず、アップルの吉崎さん(着ておられた黒地のFinal Cut Pro Tシャツが欲しいなあ(笑))からのざくっとした説明。さすがに、話しの流れはうまいなあ、と感心しました。
[いますぐ取り込み]を行ったあと、Timelineへ4つのクリップをトランジッション付きでまとめて配置すると(ブラウザで4つのクリップを選択しキャンバス右の[トランジッション付き上書き]にドラッグアンドドロップしただけの、FCPユーザにとってはありふれた操作なのですが、知らないヒトにはたしかに目を引くデモ)、トランジッション部分もレンダリングが不要(つまり、RTエフェクト)のデモをさりげなく。さらにTextGeneratorでテキストを載っけてみても、RT OKというところを見せます。そして、同じテキスト関連と言うことで、Boris Calligraphyのデモで、特に日本のユーザに不評だったテキスト周りの改善をアピールします(3Dロゴも簡単)。
さらにフィルタを掛けてみると、ここではじめてRT処理がNGとなるので、そんなときに便利なQuickView機能(AEやPremiereでいうRAMプレビュー)を紹介します。当然のことながらThree
upウインドウ表示が便利なわけで、この表示を行ったのち、これまたThree upウインドウ表示が便利なベクトルスコープ、ボイスオーバー機能も紹介します(この辺の話しの流れが絶妙なのですね)。CGM
FXsciptにも言及し、カスタムトランジッションパターンも簡単なことを示します。
また、Three upウインドウ表示のまま、カラコレ機能の紹介。カラコレしたあと、波形モニタでオーバーしている白を簡単に検出して、ブロードキャストセーフフィルタを掛ける、といった流れ(この辺の流れも絶妙)。
自動保存(Undo)に言及したあと、外部で編集機能の例としてPeak DVでオーディオの編集のデモ。
とまあ、よくもまあ、これだけFinal Cut Pro 3の新機能をコンパクトに盛り込んだものだと感心しました。(内容的には、MacDTV.ユーザグループのFCP 3 Day !!の方が濃かったんですけど(笑))。
今回のセミナーの目的は、「Apple Solution Expert」のデモを含めた「広い浅い話題」にあったのでしょう。ここからは、各社からのデモとなります、ただし、各々数分間ずつでしたから、プレゼンタの方も大変だったことでしょう。
Maya(エイリアスウェーブフロント高階、興石両氏)では、dynamicis(物理学でいう「力学」、つまり、物理運動のシミュレーション機能ですね)の一例としてrigid
Boby(物理学でいうところの「剛体」とでも訳せますか)、gravity field(重力場)を利用した「ピンボール」の作例が紹介されました。あ、そうそう、期間限定で59.8万円(40万円引き)の割引販売が行われるそうですよ。また、Personal
Leaning Edition(要はお試し版ですね)のダウンロードも準備中だとか。Mayaはmac OS Xにとっては大物のNew Comerですので、期待したいところです。
Mayaのカメラ情報をAfterEffectsにもっていけるそうなのですが、実際のデモはなし。
同じ3Dでは、Electoric Image Universe(ウィルクル社伊藤氏)のデモもあり。粘土細工のようにモデリングしてゆく機能(名称はメモしそこないました)の紹介。
次に、FCPからAfter
Effectsへの流れということで、
まずは、うわさのAutomatic Duck社プラグインβ版のデモ(アップル吉崎さん)。でも、といっても、FCPのタイムラインを[ファイル]→[書き出し]→[FCP
OMF as composite]コマンドで書き出して、After Effectsで読み込むだけなんですけど。いうまでもなく、FCPのレイヤー構造をAfter
Effectsの透明度付きレイヤーとして、コンポジションに再現されます。
でも、2002.01.18 Final Cut Pro 3とAfterEffects...に書いたとおり、逆(After EffectsからFCP)ができないとあんまり意味がないような気がしますが...。
次には、アドビシステムズ春日井氏によるAfter
Effects 5.5のデモ。3D機能の例として、ステンドグラスを透過してくる光のシミュレーションの例など、やっぱり進歩してますねえ。というか、5.0から搭載されたこの辺の機能は、正直なところやっぱり作り込みが充分ではなかった、ともいえるのですが、高度3Dプラグインなども含め、完成度を上げようとの努力は伝わってきます。
また、新規エフェクトとして、カラースタビライズ(これ使えそう、例えば、マルチカメラ環境だとFCPのカラコレ3wayよりも)、稲妻(高度)(Pro版のみ)、といったものも紹介されました。
次に、After Effectsとはまた違った方向のエフェクト、つまりロトスコーピングとしては、定番Commotion 4.1(ボーンデジタル竹村氏)が紹介されました。ご存じのとおり、Commotionの4.1の目玉機能がFCPのタイムラインをCommotionに持ち込める(2001.12.07 Commotion Pro 4.1発表)というもので、FCPで[ファイル]→[書き出し]→[export Composition XML]を実行し、Commotionで[import XML]を使って読み込みます。緑背景で撮影した人物を別の背景上に合成するというデモでした。やっぱり定番の合成ツールですね。なお、FCP 1と2にバンドルされているCommotion DVユーザは\98,000-でアップグレードできます。
なお、「Automatic Duck社プラグイン」と違って「CommitionからFCPにもっていけない」と突っ込みを入れない理由は、合成ムービー(切り抜かれる方)と背景ムービーとの時間位置関係をFCP上で位置決めして、(FCP上で合成作業するのではなく)この情報を合成が得意なCommotionにもってゆき、Comotion上で合成作業が終わったらムービーに書き出してしまって、FCPではそのシーンごとできあがった合成ムービーに差し替えればよい、という作業の流れがあるからです。After Effects的作業と異なり、Commotionを使った合成作業はそうそう何度もやり直すような作業ではないので、再びFCPにもってかえってくる時点では尺が決まっていればよいだけですから。
さて、続いて、ビデオで使うオーディオという観点から、アップルの小西氏によるPeak DV and surroundというデモ。FCP 3に付属しているPeak DVで2例ほど紹介があり、そのあと、オーディオ編集ソフト御四家(ただし、これらのソフトだけはいずれも、Mac OS 9版。これまでのソフトはすべてMac OS X版だったのですが)により、5.1サラウンド用オーディオファイルを書き出して、DVD Studio Pro付属のA.Pack(Ver1.1ですから、現行DVD Studio Pro 1.2(Mac OS 9版)です)でAC-3ファイルへ書き出せる、という一連の流れを。デモ無しのスライドショーのみでご紹介(デモがないのは残念でした)。
そして、アップルの吉崎さんに戻って、お待ちかねのDVD Studio Pro 1.5の国内初披露、かと思ったら、スライドだけで説明、ってそれはないよ〜(笑)。新機能として、「FCPのマーカをDVD Studio Proでチャプターマーカとして使える機能」( 2001.12.05 DVD Studio Pro次期バージョンのデモ。で既報)くらいしかアナウンスがないのが、かえって情けないくらいです(笑)。Subtitle Editorについても、FCPを利用できると便利なのにな(あ、もちろん、Mac OS X対応版のMPEG2エンコーダを新規開発しているわけで、DVD Studio Proの基盤は一新されるわけですが)
といった辺りで、第一部が終わりに近づき、本セミナーのオープニングムービー制作のDRAWING and MANUAL菱川氏の登場。制作期間約2週間のなかで、Mac OS X上のみで制作した感想が「データコピーが速い」「落ちない」あたりだったのは、アップルの方からすると少し不満(笑)だったかもしれません。が、今のMac OS Xを取り巻く環境だと、そんなものでしょう。
全体的な感想ですが。
● 話しの流れは(プレゼンテーションとして)すばらしい。
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内容的にも、聴衆層も考えるとFianl Cut Pro 3の個々の機能を具体的に説明してもどうか、と思いますので、こんなものかな。もちろん、これだけの短時間ですから、個々のデモにしてもすべてにわたって食い足りない点は否定できません。しかしながら、Macベースのビデオ系クリエーティブワークにおいて、これだけの広い(その分浅いが)内容を網羅していることには、「Apple
Solution Expert」といった施策に沿ったイベントとしても意味があったとわたしは思います。少なくとも、Macworld Coference and
Expoの有料カンファレンスでは、毎年「金、かえせ〜」状態になりますからね(笑)。これで、無料はありがたい。
結局、MacベースでのDTVのよさ、ってのは、今回のキーワード「ワークフロー」、つまり、作業の連携が簡単、というとことにあるので、この点をアピールすべきであることはいうまでもありません。
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にもかかわらず、プレゼンにごまかされる、というか。Jobsのお得意の「現実歪曲空間」(笑)というか。
例えば、ワークフローという言葉ひとつにしても、作業全体をたったひとりが1台のMacで行うというのなら、たしかに作業の連携性は重要です。でも、各作業工程を複数の担当者が複数のマシンを使って行う場合には、結局、「各工程ごとで「速い」もの」が勝ちます。3Dなら複数のPCで分散レンダリング、DTV編集ならばWinのハードウェアリアルタイムカード、といった具合に。DVDオーサリングにしたってそうです。
こういう「各工程のエキスパートプロダクト」と比べて、どうなのか、ということも、たぶん聴衆は聞きたかったでしょうね(わたしも含めて)。今回の内容は、プロフェッショナル向け、と銘打っていたのですから。
といった辺りが、わたしの感想です。
第二部 QuickTime Live !の内容の国内初発表
これは、2002.02.13 QuickTime Live! でQuickTime 6発表を越えるものではありませんでした。「わずか4日というタイムラグでQuickTimeの最新情報を直接お届けします」というには、余りにも肩すかしであります。ブーブー。
こりゃ、3月1日のQuickTime Streaming Solution Fair 2002に出ろ、ということなのかな(笑)。
第三部
この後は、英の映像制作集団D-Fuseのマイク・フォークナー氏、J-Waveのナビゲータでもあるモーリー・ロバートソン氏による講演が行われたようですが、わたしは、退出してしまいました。
次の用事もあったのですが、この手の作品にはあまり興味がないことと、持病(メヌエール病)のせいでこの手の作品を見ると酔ってしまうので(笑)。
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Yasushi SATO |