インターレース表示(飛び越し走査)
一方、"A/Vビデオ"の信号は、ちょっとややこしくて、インターレース表示(飛び越し走査)されるものの方が多いのです。
どんなビデオがインターレースで、どんなビデオがプログレッシブかは、このページ後方[ 480/60i、720/30p、1080/60i
...といった表記の意味 ]で紹介します。
インターレース表示がなされるビデオ信号においては、ひとつのフレームは2つのフィールドから成り立っています。
それぞれフィールド1(奇数フィールド)とフィールド2(偶数フィールド)と呼びますが、図のように、それぞれのフィールドでは、水平走査線を一本置きに交互に表示しているのです。このような表示法をインターレースといいます。
インターレース表示の概念図
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まず、フィールド1を一列とばしで(上図での青ラインを)走査し、次に、フィールド2を一列とばしで(赤色ラインを)走査します。フィールド1を60回/秒、フィールド2を60回/秒描いています。フィールド1とフィールド2とで、ひとつのフレームが描かれるので、30
fps(frame /秒)という計算です。
なぜ、インターレース表示をするのか
なぜ、そんなめんどくさいことをしているかというと、こんな理由からです。
プログレッシブで30fps表示すると、1秒に30枚の紙芝居をめくることになります。結構なスピードのように思えますが、動きの速い画像の場合、人間の目ではぎこちなく見えてしまいます。つまり、インターレース方式が採用されている理由は、単純にフルフレームを約30fpsで表示(=プログレッシブ表示)した場合、画面が明滅しているように見えたり、動きの速い被写体がぶれて見えたりすることを防ぐためです。すなわち、インターレース表示により、擬似的に60fps表示させることでちらつきやブレを防いでいるのです。
プログレッシブ
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インターレース
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フレーム1
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フレーム1の
フィールド1
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フレーム1の
フィールド2 |
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フレーム2
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フレーム2の
フィールド1 |
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フレーム2の
フィールド2 |
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フレーム3
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フレーム3の
フィールド1 |
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水平走査線を1本ずつ飛び越し走査することで、図をごらんになるとおわかりのとおり、単位時間当たりの伝送データ量は同じでも、擬似的に約60fpsで表示しているかのように見せているのです。この結果、画面の明滅感はなくなりますし、速い被写体のぶれは避けることが出来る、というわけです。
ちなみにMac(やPC)のモニタは、プログレッシブ走査にもかかわらず、ちらつき感が感じられない理由は、TVの倍以上の頻度で画面を書き換えている(走査周波数が高い)ためです。お使いのMacのディスプレイシステム環境設定をご覧ください。60Hzや75Hzになっていますよね。これらは、60p(1秒に60回、プログレッシブで描画)や75pになってますよね。
インターレースにまつわる諸問題
DTVを行うにあたってインターレースの問題は、DTVソフトで正しい設定が選択されていさえすれば、編集時にはあまり気になる問題ではありません。とはいえ、以下のようなことが起こった時は、インターレースのことを思い出してください。
作成したムービーをビデオ上で再生したとき、ちらつきが出る、微妙に(左右に)揺れる、水平方向に「くしの歯」状の模様が見える、といったときには、この問題を思い出してください。このような場合は、ムービーレンダリングの際のフィールド関連設定を疑ってみるといいでしょう。最終レンダリング前に、仮ムービーを実際にTVに表示させ、フィールド関連設定が正しくなされていることを確認して下さい。
また、ビデオから静止画を作ろうとしたときに、動きの速い場面の場合には静止画がぶれてしまいます。
この理由は、図のとおり、フィールド1とフィールド2とを合成してフレームを作っているためであり、原理的に避け切れません。
480/60i、720/30p、1080/60i ...といった表記の意味
さて、[基本編] ビデオの表示のこの箇所で、
HDビデオには、主だったものに、1920×1080i、1440×1080i、720pなどがあります。
ここで、末尾に"i"とか"p"とか書いていますが、iはインターレース、pはプログレッシブのこと。インターレース、プログレッシブについては、[中級編]で解説しますので、ここでは気にしないでください。 と書いてありますので、これらの点を解説しましょう。
以下、30fpsとの記載は、正確には29.97fpsです。
480/60i
SDビデオは、フレームサイズ720×480で、30fps(フレーム/秒)のインターレース表示です。
インターレース表示ということは、1フレームが2フィールド。30fpsということは、60フィールド/秒ということです。
これらのスペックから、SDビデオのことを、480/60iと呼びます。フレームの水平解像度の「480」、「60」フィールド、インターレースの「i」を並べて、480/60i、といった具合です。
1080/60i
規則に当てはめて考えていただければ、1080/60iの意味もわかりますね。
フレームの水平解像度が「1080」、「60」フィールド、「i」、つまりインターレース表示がなされるビデオ、といえば、HDビデオです。
例えば、1920×1080/60iとは、フルハイビジョン。1440×1080/60iは、地上波デジタル放送やHDV。
1080iには、このほかに、ヨーロッパ圏でのデジタル放送などで1080/50i等もあります。また、映画Blu-ray Discでは、1080/24pもあります(フィルムは、プログレッシブで24コマ/秒なので、1080/24pがもっとも相性がよいのです)。 720p
同様に、720pとは、フレームの水平解像度が「720」で、「p」、すなわちプログレッシブ表示がなされるビデオのことです。
720pには、日米では、主に720/30pや、720/60p等があります。ヨーロッパでは、720/25pや720/50pがあります。
こういったネーミングルールをマスターすれば、Final Cut Proの[簡易セットアップ]でどれを選べば良いか、わかるようになります。
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